運転の記憶
運転の記憶
運転をするというのは運転に関する様々な行為や認知、判断を記憶する事と大脳生理的にいうとなります。たとえばハンドルを回す体感記憶、どの程度廻すとどのくらい曲がるかの記憶、アクセルの足裏から伝わる感覚記憶、踏んだ時の反応記憶、ブレーキも同じです。また他の交通がどんな動きをするのか、信号はどんな順に変わり、どのくらいのタイミングで変わるのか、他の車はどんな動きをするのか、数え上げたらきりがない程の記憶をしなければなりません。教習所では仮免許取得までは主に先に上げました体感とその反応記憶を身に付け、本免許、路上練習で他の交通の動きや実際の交通のなかでのルールと判断感覚を記憶するというのが運転記憶に関する習得理論となります。
記憶の個人差
何を記憶するにも個人差があります。漢字を覚える、数字を覚える、道を覚える、音楽を覚える、人の顔を覚える、名前を覚える、事柄により得意不得意があると思います。道を覚えるのは得意だが漢字はどうもとか、顔は覚えているが名前は苦手と人それぞれではないでしょうか。また見て覚える、聞いて覚える、書いて覚える等、得意な覚え方も違います。ただ運転はその多くをイメージで記憶しなければなりません。漢字が得意だからと言って漢字に変換して覚えるという訳にはいきません。ここに個人差の理由があります。また運転を始める際の基礎記憶にも大きな差がある事も個人差のもう一つの大きな理由といえます。基礎記憶とは初めてハンドルを握る前にどれだけの疑似体験、もしくはイメージ記憶をつけていたかをいいます。
判断と記憶
判断とはその場その場で物事を即座に決定しているように感じますが、実は記憶が大きくかかわっています。判断をするにあたって基準となる記憶が必要です。記憶を基礎に判断もおこなわれています。短い時間で判断しようと思えば特に多くの記憶が必要となります。極端な例で最近ではほとんど耳にする事もないのですが走行中突然ブレーキが利かなくなったとします。どう対処するかはその人の記憶量によります。車の速度を下げる方法をどれだけたくさん知っているか、またこの場合はどの方法を選択するのが適切か等です。高度な判断のためには多くの知識及び経験により身に付けた記憶が重要な決め手となります。
短期記憶、長期記憶と瞬間記憶
短期記憶とは一時期的に蓄えられる記憶で用が終わると消えてしまい、長期記憶はいつでも呼び出す事のできる記憶と言われています。電話番号や道を覚えてかけたり、たどり着くと忘れてしまう記憶が短期記憶です。もっと短い瞬間記憶と呼ばれるものもありますが、バックミラーなどを見て瞬時に記憶しすぐ忘れてしまうような記憶を呼びます。いろんな記憶によって運転は成り立っています。また記憶は意識的なものと無意識なものがありブレーキの踏み間違い等もこの無意識の瞬間記憶のつながりの問題ではないかと思われます。
運転は判断力か？
運転は判断力とよく言われますが、実はもっと大切なのは基礎となる記憶ではないかと思います。正しい記憶がないから間違った判断がされるとも言えます。しかし運転に必要な正しい記憶を身に付ける事は大変難しく、どこに真実の知識があるのかを探すだけでも苦労なのです。確かに教習所には法律の知識はあります。しかし噂のとうり慣習的な知識や高度の知識に関してはすべてのとは言えませんがおおよそ期待ができません。
意識される記憶と無意識の記憶
言語的な記憶は意識できいつでも表現できます。しかし行動のような無意識に身に付けた記憶はいつでも自由に表現できるとは限りません。運転の記憶も常に意識的であるとはいい難く変な癖がついたりするのは無意識に記憶されているものがあるためだと思います。恐怖感や苦手意識、見栄や負けず嫌い等の感情が無理をさせ無意識に間違った記憶を付けてしまう結果となっているようです。自らの無意識の記憶に光を当て意識化する事は真の意味の上達と言えるのではないでしょうか。
スムーズな記憶方法
物事を記憶する際、大事なのは情報の伝達や練習の進め方です。運転に関して言いますと、はじめから細かい話はしないというのが重要になります。記憶は大から小へと言われるくらいで全体像を掴むことから始まり徐々に細部に踏み込むのがベストな習得方法と言えます。人は意味の無いと感じる事は記憶し難いものです。はじめから細かい話をされても意味が解らなく記憶できません。大昔の理屈を言わず黙って覚えろという話は、記憶方法という観点からは理に適っていないという事になります。基礎が大事という名のもとに初回からやれハンドルがダメだのアクセルの踏み方がどうだの、どこを見ていない等という練習は教える側の自己満足に過ぎないのです。教わる側はなかなかそんなにたくさんの事を一度には覚えられません。まず運転とはどんな事なのか全体像を掴むところからのようです。昨今インターネット上では、子供染みた甘い言葉で勧誘するサイトが横行していると言われています。是非正しい情報を見分け効率良く上達できるスクールを探して下さい。
